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結果通知書 住民監査請求監査結果通知書【監査委員事務局】 | 出雲市

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全文

(1)

出雲市監査委員告示第 7 号

出雲市職員措置請求に係る監査の結果について(公表)

地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号。以下、「法」という。)第 242 条第 1 項の規定に

よる出雲市職員措置請求に係る監査を実施したので、その結果を同条第 4 項の規定に基

づき、次のとおり公表します。

平成 24 年(2012)6 月 11 日

出雲市監査委員

出雲市監査委員

出雲市監査委員

第1 請求の受付

1 請求人

2 請求書の提出

平成 24 年(2012)4 月 13 日

平成 24 年(2012)4 月 24 日(請求事項の追加)

3 請求の内容

請求人提出の出雲市職員措置請求書及び同請求書(請求事項の追加)並びに陳述

時の補足説明による主張事実の要旨及び措置請求は、次のとおりである。

(1) 主張事実(要旨)

地方公共団体が任意に附属機関を設ける場合には条例によらなければならない

と地方自治法第 138 条の 4 第 3 項本文に規定されているにも関わらず、出雲市は

出雲市自治基本条例(仮称)市民懇話会設置要綱に基づき本件市民懇話会を設置

(2)

例案検討会の委員等に支払った報酬等は違法な公金支出である。

違法な公金の支出は以下のとおりである。

① 平成 23 年 4 月 14 日から同年 8 月 19 日の間に計 10 回開催した出雲市自治

基本条例(仮称)市民懇話会の委員及びアドバイザーに報酬及び費用弁償と

して支払われた 690,330 円

② 平成 23 年 10 月 28 日から同年 12 月 9 日の間に計 3 回開催した「出雲市自

治基本条例(仮称)」条例案検討会の委員に報酬及び費用弁償として支払われ

た 160,340 円

③ 平成 24 年 3 月 6 日付け新聞掲載の広告料として支払われた 592,200 円

④ 平成 23 年 5 月分から 9 月分の市民懇話会世話人会等に費用弁償として支払

われた 23,690 円

⑤ 平成 23 年 7 月分から 9 月分の無作為抽出アンケート等の返信用後納郵便料

として支払われた 91,200 円

(2) 措置請求

① 要綱に基づいて設置された違法な市民懇話会及び条例案検討会の解散

② 違法な委員会の設置に伴い委員等に支払われた報酬その他の経費の損害賠

③ 監査委員が市長その他の執行機関又は職員の陳述の聴取を行う場合におい

て、請求者を立ち会わせること

④ 監査委員は、市長その他の執行機関又は職員に対し、監査の手続きが終了

するまでの間、当該違法行為を停止すべきことを勧告すること

4 請求の要件審査

本件請求については、法第 242 条所定の要件を具備しているものと認め、平成 24

年 4 月 26 日に受理した。

なお、第 1.3.(2).④で請求のあった暫定的停止の勧告については、同日、監

査委員の合議により「ただちに、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回

復困難な損害を避けるための緊急の必要性があるとまでは認められない」と決定し、

(3)

第2 監査の実施

1 監査対象部局

出雲市総合政策部政策企画課

2 請求人の証拠の提出及び陳述

請求人に対して、法第 242 条第 6 項の規定に基づき、平成 24 年(2012)5 月 7 日

に証拠の提出及び陳述の機会を与えた。これに対し、請求人から請求内容の補足

説明があった。

なお、陳述の際、字句の訂正と内容の一部修正の申し出があり、監査委員は合

議によりこれを承認した。

○字句の訂正 請求書(平成 24 年 4 月 13 日提出)P.3 1 行目

「委員長」を「代表世話人または座長」に訂正

○内容の一部修正 請求書(平成 24 年 4 月 13 日提出)P.4 (5)②

「その他の経費の返還」を「その他の経費の損害賠償」に修正

3 監査対象事項

法第 242 条に規定する住民監査請求の監査の対象となる事項は以下のとおりで

ある。(第 1.3.(2).②)

(1) 出雲市が本件市民懇話会及び条例案検討会に関わる費用として支出した次の行

為が違法な公金の支出にあたるか。

① 平成 23 年 4 月 14 日から同年 8 月 19 日の間に計 10 回開催した出雲市自治

基本条例(仮称)市民懇話会の委員及びアドバイザーに報酬及び費用弁償と

して支払われた 690,330 円

② 平成 23 年 10 月 28 日から同年 12 月 9 日の間に計 3 回開催した「出雲市自

治基本条例(仮称)」条例案検討会の委員に報酬及び費用弁償として支払われ

た 160,340 円

③ 平成 24 年 3 月 6 日付け新聞掲載の広告料として支払われた 592,200 円

④ 平成 23 年 5 月分から 9 月分の市民懇話会世話人会等に費用弁償として支払

われた 23,690 円

⑤ 平成 23 年 7 月分から 9 月分の無作為抽出アンケート等の返信用後納郵便料

として支払われた 91,200 円

(2) (1) の公金支出が違法であった場合、出雲市長に損害賠償責任を認めることが

(4)

4 関係職員の陳述聴取

平成 24年 5月 17 日、総合政策部部長、同部次長及び政策企画課職員3 名(以下、

「関係職員」という。)に対し陳述聴取を実施した。

なお、第 1.3.(2).③の請求を受け、監査委員合議のうえ、法第 242 条第 7 項

の規定に基づき請求人の立会いを認め、5 月 14 日に通知した。しかしながら、5 月

16 日、請求人から所要のため出席できないとの回答があり、これを受領した。よっ

て、当日、請求人は立会っていない。

第3 監査の結果

本件請求についての監査の結果は、監査委員の合議により、次のように決定した。

主文

本件請求については請求人の求める措置請求を棄却する。

意見

市民懇話会及び条例案検討会についてはともに執行機関の附属機関に該当すると

判断したので、出雲市長には、条例に基づく設置に向けた改善を早急に実施された

い。

また、本件監査の中で、出雲市においては同様の組織形態が多数存在しているこ

とが判明した。よって、出雲市長には、これらを早急に見直すとともに、今後設置

されるものについても、条例に基づいて設置されたい。

1 事実関係の確認

本件請求書及び添付された事実証明書並びに請求人及び関係職員の陳述聴取に基

づき、次の事項を確認した。

(1) 出雲市自治基本条例(仮称)市民懇話会(以下、「市民懇話会」という。)につ

いて

ア 市民懇話会は、出雲市自治基本条例(仮称)市民懇話会設置要綱により「地方

分権時代にふさわしい出雲市における自治の理念、市民参画をはじめとしたまち

づくりの基本的な仕組みを定める自治基本条例(以下、「条例」という。)の制定

に向け」(第 1 条)設置するとし、「懇話会は、条例に関する事項について調査、

研究及び検討を行うとともに、提言書を作成し、市長に提出する」(第 2 条)こ

とを職務としている。

委員定数は 25 人以内とし、実際の委員は、公募による市民 14 名と指名による

市民 4 名の計 18 名で構成され、また、アドバイザーとして識見を有する者 2 名が

委嘱されている(第 3 条)。任期を 1 年以内とし、再任を妨げないと規定(第 4

条)。

(5)

を総理する(第 5 条)。

会議は会長が招集し、議長となる。開会の定数を半数以上の委員の出席と定め、

庶務を出雲市総合政策部政策企画課において処理することとしている(第 6 条、

第 9 条)。

会議は、第 1 回を平成 22 年 8 月 25 日とし、以後、平成 23 年 8 月 19 日の第 22

回まで開催されているが、本件出雲市職員措置請求においては、その請求日前 1

年内に支払日を有する第 13 回開催以降を対象としている。

イ 市民懇話会の開催状況と支出

開催数 開催日

出席 人数

報償費 (円)

費用弁償 (円)

支払日

第 13 回 平成 23 年 4 月 14 日 17 56,760 8,490 平成23 年 5 月20 日

第 14 回 平成 23 年 4 月 26 日 17 56,760 8,490 平成23 年 5 月20 日

第 15 回 平成 23 年 5 月 13 日 19 66,870 36,120 平成23 年 6 月20 日

第 16 回 平成 23 年 5 月 27 日 15 54,430 35,530 平成23 年 6 月20 日

第 17 回 平成 23 年 6 月 16 日 17 56,760 8,110 平成23 年 7 月29 日

第 18 回 平成 23 年 6 月 24 日 15 50,540 6,600 平成23 年 7 月29 日

第 19 回 平成 23 年 7 月 1 日 13 44,320 7,840 平成23 年 8 月19 日

第 20 回 平成 23 年 7 月 28 日 14 47,430 8,490 平成23 年 8 月19 日

第 21 回 平成 23 年 8 月 10 日 12 37,320 6,810 平成 23 年 9 月 9 日

第 22 回 平成 23 年 8 月 19 日 16 57,540 35,120 平成 23 年 9 月 9 日

合計 528,730 161,600 690,330 円

(2) 「出雲市自治基本条例(仮称)」条例案検討会(以下、「条例案検討会」とい

う。)について

ア 条例案検討会は、「出雲市自治基本条例(仮称)」条例案検討会設置要綱により

「地方分権時代にふさわしい出雲市における自治の理念、市民参画をはじめとし

たまちづくりの基本的な仕組みを定める自治基本条例の条例案の作成を行うた

め」(第 1 条)に設置するとし、「検討会は、自治基本条例(仮称)の条例案の作

成を行い、市長に報告する」(第 2 条)ことを任務としている。

委員定数は 10 人以内とし、実際の委員は、岡山大学法学部教授、島根大学法文

学部准教授、弁護士各 1 名、市民懇話会委員 2 名、及び出雲市総合政策部長の計

6 名で構成されている。任期は、第2 条に規定する事務が終了するまで(第 3 条)。

座長は市長によって指名され、会務を総括する(第 4 条)。検討会は座長が招集

し(第 5 条)、庶務を出雲市総合政策部政策企画課において処理することとしてい

る(第 7 条)。会議は、第 1 回が平成 23 年 10 月 28 日に開催され、以後、平成 23

(6)

イ 条例案検討会の開催状況と支出

開催数 開催日

出席 人数

報償費 (円)

費用弁償 (円)

支払日

第 1 回 平成23 年10月28日 6 27,220 28,560 平成 23年12 月20 日

第 2 回 平成23 年11月25日 6 27,220 28,560 平成 23年12 月20 日

第 3 回 平成 23 年 12 月 9 日 5 20,220 28,560 平成 24 年 1 月 10 日

合計 74,660 85,680 160,340 円

(3) 市政広報新聞掲載費用の支出

内容 科目

支出金額

(円)

支払日

市政広報新聞掲載 一般役務費 592,200 平成 24 年 4 月 20 日

※平成 24 年 3 月 6 日付け新聞掲載の全面広告

「大好き出雲!市民が主役の出雲市へ 自治基本条例の原案をまとめました」

(4) 市民懇話会世話人会等の開催状況と支出

内容 科目

支出金額

(円)

支払日

市民懇話会世話人会出席委員 費用弁償 1,980 平成 23 年 6 月 20 日

市民懇話会世話人会出席委員 費用弁償 2,970 平成 23 年 7 月 29 日

市民懇話会世話人会出席委員 費用弁償 1,980 平成 23 年 9 月 9 日

出雲市自治基本条例制定に伴う協議 費用弁償 16,760 平成 23 年 10 月 7 日

合計 23,690

※市民懇話会世話人会:第4 回市民懇話会で委員の発意により「会の運営方法等を円 滑に行うため」に設置(4 名の委員)

※出雲市自治基本条例制定に伴う協議:条例策定に向けたスケジュール等

(5) その他の支出

内容 科目

支出金額

(円)

支払日

7 月分後納郵便料

(無作為抽出イベント参加希望者返信用)

一般役務費 17,860 平成 23 年 8 月 31 日

8 月分後納郵便料

(無作為抽出アンケート返信用)

一般役務費 72,960 平成 23 9 30

9 月分後納郵便料

(無作為抽出アンケート返信用)

一般役務費 380 平成 23年10 月31 日

合計 91,200

※無作為抽出イベント:市民懇話会アドバイザー島根大学法文学部准教授の指導の もと、市民によるワールドカフェ方式による意見聴取の会

(7)

(6) 市民懇話会の開会からこれまでの活動状況と主な成果

(初回:平成 22 年 8 月 25 日~最終:平成 23 年 8 月 30 日)

第 1 回 平成 22 年 8 月 25 日 ・市民懇話会委員委嘱

第 2 回 平成 22 年 9 月 10 日

・職員研究会報告書報告 ・市民懇話会の役

割等

第 3 回 平成 22 年 10 月 5 日

・ワークショップ「出雲はこんなまちになる といい」等

第 4 回 平成 22 年 11 月 5 日

・グループ別討議「こんなまちをつくりた

い」

第 5 回 平成 22 年 11 月 26 日 ・今後の進め方について

第 6 回 平成 22 年 12 月 17 日

・グループ別討議「市民と行政の関係(市民

参加・協働・NPO等)」

第 7 回 平成 23 年 1 月 14 日 ・全体討議「市民と行政の関係」

第 8 回 平成 23 年 1 月 28 日

・グループ別討議「地域コミュニティ(自治

会・PTA・地域と学校の関係等)」

第 9 回 平成 23 年 2 月 10 日

・全体討議「地域コミュニティ」

・グループ別討議「人権(男女共同参画・福 祉・バリアフリー等)」

第 10 回 平成 23 年 2 月 24 日 ・全体討議「人権」

第 11 回 平成 23 年 3 月 10 日

・これまでのまとめ

・今後の討議テーマについて

第 12 回 平成 23 年 3 月 24 日 ・今後の討議テーマについて

第 13 回 平成 23 年 4 月 14 日

・全体討議「市民・市民参加・新しい公共・

地域コミュニティ」

第 14 回 平成 23 年 4 月 26 日 ・全体討議「議会・住民投票・地域連携」

第 15 回 平成 23 年 5 月 13 日

・全体討議「条例の必要性等・行政運営・行

政職員」

第 16 回 平成 23 年 5 月 27 日

・全体討議「まちの理想像・福祉・子ども・ 危機管理」

第 17 回 平成 23 年 6 月 16 日

・中間まとめ

・広報広聴活動について

第 18 回 平成 23 年 6 月 24 日

・中間まとめ

・広報広聴活動について

第 19 回 平成 23 年 7 月 1 日 ・中間まとめ総括

第 20 回 平成 23 年 7 月 28 日 ・広報広聴活動の報告について

第 21 回 平成 23 年 8 月 10 日 ・提言案の検討

第 22 回 平成 23 年 8 月 19 日 ・提言案の確認

(8)

(7) 条例案検討会の開会からこれまでの活動状況と主な成果

(初回:平成 23 年 10 月 28 日~ )

第 1 回 平成 23 年 10 月 28 日 ・検討スケジュールの確認等

第 2 回 平成 23 年 11 月 25 日 ・条例原案の協議

第 3 回 平成 23 年 12 月 9 日 ・条例原案の協議

2 関係職員の主張

(1) 市民懇話会及び条例案検討会の設置について

自治基本条例の制定にあたっては、全国的に市民参画による組織を設置し検討す

る事例が多くあり、出雲市においても、条例の内容はもとより、その制定過程が重

要であるという認識のもと、市民参画の機会を設け、見識を有する方の助言を得な

がら検討していくこととした。

出雲市には、各種団体の長や地域の代表者等により構成される組織が多数あるが、

自治基本条例の制定にあたっては、所属団体等に関わらず、市民の立場で広く意見

をいただくことを目的として、市の他の会議では例のない形で公募委員を中心とし

た市民懇話会を設置した。

この市民懇話会の運営は、合議制を想定しておらず、議決方法も定めていない。

このため、市民懇話会の成果として市長に提出した提言書は、項目によっては複数

の考え方を併記し、その他の少数意見も記述した形となっている。

条例案検討会は、前述の市民懇話会などの意見を参考に市が条例の案を検討する

際に専門家個人の立場から助言をいただく場として臨時的に設置した。この条例案

検討会においても市民懇話会と同様に合議制をとらず、市が作成した条例原案、条

例案の作成に対し様々な助言をいただいたところである。

組織の設置にあたっては、先行事例として参考にした米子市や北九州市の他、多

くの自治体において要綱により検討組織が設置されていたところであるが、市民懇

話会、条例案検討会ともに以上のような性格を持つ組織と考えており、地方自治法

の規定に基づく附属機関に該当するものではないと判断しているところである。

なお、法第 138 条の 4 第 3 項は、地方公共団体が法律又は条例により執行機関

の附属機関を置くことができるとされているが、執行機関が意思決定過程において、

市民参加や助言を受けるために、条例によらない組織を設けることを不可能として

いるとは考えていない。

市民懇話会及び条例案検討会の設置にあたっては、関連予算の審議を通じて市議

会に概要を説明し、要綱は告示するとともに、会の設置、構成メンバー、検討の状

(9)

(2) 委員の応募状況、選定方法及び選定結果、並びにアドバイザーの選定方法及び

選定結果について

市民懇話会の委員は、出雲市自治基本条例(仮称)市民懇話会設置要綱(以下、

「要綱」という。)により、その総数を25名以内とし、その内10名程度を市民から

広報紙や市のホームページを通じて募集したところ、14名からの応募があり、応募

用紙及び作文の内容等を審査した結果、全ての方を採用することとした。

この決定を踏まえ、要綱第3条第2項の規定による「公募による市民以外」の委員

の取り扱いについて検討した結果、①公募委員の平均年齢が60歳を超えていること

(60.4歳)、②女性の比率が低いこと(14人中4名)、③応募者の地域に偏りがあ

ること(佐田地域、大社地域は応募者なし。平田地域、多伎地域、湖陵地域は1

名)から、要綱第3条第2項第2号に規定する「まちづくりに取り組む団体等に属す

る者」から、上記の点を考慮しながら指名委員として数名程度を追加することとし

た。

商工会議所などの団体に依頼した結果、最終的には、コミュニティセンター職員、

地域協議会の委員などから女性3名、男性1名(出雲地域 女性30代 1名、佐田地

域 女性50代 1名、大社地域 男性40代 1名 女性40代 1名)を指名委員とし

て委嘱することとした。

アドバイザーは、法的な見地からの助言や、市民懇話会の進め方等について助言

をいただくために設置することとした。法的な識見を有するアドバイザーとして、

中国地方内の大学で行政法学等の専門の方を検討したところ、岡山大学法学部教授

に承諾をいただいた。

また、市民懇話会の進め方等についてのアドバイザーとして、米子市民自治基本

条例検討委員会のアドバイザーでもあり、島根県や出雲市などで市民との協働に関

する事業に携わられている島根大学法文学部准教授に依頼し承諾を得た。

なお、条例案検討会には、上述の2名のアドバイザーに引き続き委員として参加

いただき、さらに幅広く法律の専門家からの助言をいただくため、島根県弁護士会

所属の弁護士に参加いただくこととなった。

(3) 市民懇話会及び条例案検討会の今後の活動スケジュールについて

市民懇話会は、平成23年8月31日付けで委嘱期間が終了している。

条例案検討委員会は、今後の開催予定はないが、市が最終的な条例案をとりまと

めるにあたって、必要に応じメールや電話でご意見を伺うことをお願いしている。

(4) 委員等への報酬及び費用弁償並びにその他の経費の支出について

市民懇話会及び条例案検討委員会の市民委員の謝金の額は、市のボランティア的

(10)

員で非常勤のものの報酬、費用弁償等に関する条例(平成17年出雲市条例第36号)」

の別表「その他条例、規則等に基づく委員等 日額7,000円」を準用した。

費用弁償については、「特別職の職員で非常勤のものの報酬、費用弁償等に関す

る条例の規定」を準用した。

それぞれの委員については非常勤特別職に該当しないことから、役務の提供の対

価として謝礼を支払ったものである。

3 監査委員の判断

法第242条に規定する住民監査請求は、普通地方公共団体の執行機関又は職員の

違法又は不当な財務会 計上の行為若しくは怠 る事実について、監査 委員に対して、

当該行為の防止、是正若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る

事実によって当該普通地方公共団体の被った損害を補てんするために必要な措置

を求め、このことにより、地方公共団体の行財政の適正な運営を確保し、もって

住民全体の利益を擁護することを目的とするものである。従って、単に違法行為

等の事実があるだけでなく、その行為によって具体的に損害が発生していること

が要件となる。

「住民監査請求は、地方公共団体の執行機関又は職員による財務会計上の違法

若しくは不当な行為又 は怠る事実により普通 地方公共団体に損害を 与えた場合に、

当該普通地方公共団体の住民は、その損害を補塡するために必要な措置を講ずべ

きことを請求できるとされており、たとえ違法・不当な行為又は怠る事実がある

としても、市に損害をもたらさない行為は、住民監査請求の対象にはならない」

とされている(平成6年9月8日最高裁判決(行ツ)第97号)。

このことを前提として、前記の事実関係の確認、並びに、関係職員の陳述聴取

に基づき、以下のとおり判断した。

(1) 法第 138 条の 4 第 3 項に規定する「附属機関」について

法第138条の4第3項は「普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところによ

り、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その

他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。」と規定して

いる。

この規定にいう「附属機関」とは、執行機関の要請により、行政執行のために

必要な資料の提供等行政執行の前提として必要な審査、諮問、調査等を行うこと

を職務とする機関を総称するものであって、その名称は問わないものであり、ま

た、そこにいう「審査」とは、特定の事項について判定ないし結論を導き出すた

めに内容を調べること、「諮問」とは、特定の事項について意見を求めることを

指す比較的広い外延を有する概念である。

更に、この規定は、附属機関は法律又は条例の定めるところにより設置するこ

とを要し、それより下位の行政の内部規律、例えば決裁により制定される要綱な

(11)

令に特別の定めがない限り、各執行機関において規則、規程その他の内部規律に

基づいて任意に行うこ とができるものとされ ていた従来の取扱いを 改め、今後は、

行政組織の一環をなす附属機関の設置は、すべて条例に定めなければならないこ

ととする趣旨で本条が新設された経緯(昭和27年8月法律第306号)からみても、

このように解するのが相当である (平成14年1月30日さいたま地方裁判所平成11年

(行ウ)第8号) 。

本件請求の監査対象である市民懇話会及び条例案検討会はそれぞれの要綱によ

り設置されており、法律又は条例を設置根拠とする附属機関として設置されたも

のではない。そのため 、設置目的、委員の構 成、設置する期間、活 動内容等から、

その実態が実質的に法第138条の4第3項に定める附属機関と認められる場合には、

法律又は条例に基づいていない以上、違法に設置された存在であると判断せざる

を得ないことになる。

(2) 市民懇話会及び条例案検討会の「附属機関」該当性について

そこで、市民懇話会及び条例案検討会が「附属機関」に該当するかどうかについ

て検討する。

市民懇話会は、公募委員14名、指名委員4名及びアドバイザー2名の合計20名に

よって組織された会議であり、また、条例案検討会は、識見を有する者として、市

民懇話会のアドバイザー2名に弁護士1名、市民懇話会委員2名、及び出雲市総合政

策部長の合計6名によって組織された会議であって、両者ともその庶務は執行機関

である出雲市総合政策部政策企画課において処理するものとされている。(行政組

織の一環)

その所掌事項としては、市民懇話会が「地方分権時代にふさわしい出雲市におけ

る自治の理念、市民参画をはじめとしたまちづくりの基本的な仕組みを定める自治

基本条例(仮称)に関する事項についての調査、研究及び検討を行うとともに、提

言書を作成し、市長に提出する」ことであり、条例案検討会は「地方分権時代にふ

さわしい出雲市における自治の理念、市民参画をはじめとしたまちづくりの基本的

な仕組みを定める自治基本条例の条例案を作成するため、検討を行うとともに、出

雲市長に報告する」こととして、その制度化に関して市民や議会から賛否両論が

あって、現時点において注目されている重要な行政事務の一つである。(行政執行

の前提として必要な審査、諮問、調査等の職務)

また、市民懇話会の作成した本件提言を基礎として更に条例案が作成されるとい

う行政過程が予定され、およそ1年にわたり22回の会議によって、第3.1「(6) 市

民懇話会の開会からこれまでの活動状況と主な成果」のとおり詳細な検討がなされ、

その結果が平成23年8月30日に市長へ提言書を提出することで結実している。条例

(12)

び条例案検討会は、法第138条の4第3項に規定する、執行機関の要請により、行政

執行のために必要な資料の提供等行政執行の前提として必要な審査、諮問、調査等

を行うことを職務とする機関に該当すると認めるのが相当である。

そうすると、市民懇話会及び条例案検討会が条例に基づくことなく、内部規律に

すぎない要綱によって設置、運営されたことは、法第138条の4第3項の規定に違反

したものと言わざるを得ない。

関係職員は、「市民懇話会の運営について、合議制を想定しておらず、議決方法

も定めていない。このため、市民懇話会の成果として市長に提出した提言書は、項

目によっては複数の考え方を併記し、その他の少数意見も記述した形となっている。

条例案検討会については、前述の市民懇話会などの意見を参考に出雲市が条例の案

を検討する際に専門家個人の立場から助言をいただく場として臨時的に設置した。

この検討会においても市民懇話会と同様に合議制をとらず、市が作成した条例原案、

条例案の作成に対し様々な助言をいただいたところである。」とし、「執行機関が

意思決定過程において、市民参加や助言を受けるために、条例によらない組織を設

けることを不可能としているとは考えていない。」として、「市民懇話会及び条例

案検討会が附属機関に該当するものではない。」と主張する。

執行機関が意思決定過程において、市民参加や助言を受けるために、条例によら

ない組織を設けることに関しては学説にも種々議論のあるところであり、出雲市に

限らず、要綱、規則などに基づき設置されている組織が多数存在していることは、

関係職員の主張のとおりであることが認められる。

しかし、市民懇話会及び条例案検討会が審査ないし諮問を目的とする行政組織と

して評価するに値する実体を備えていることは前記のとおりであり、法第138条の4

第3項の規定に審査ないし諮問の目的や機関の存続期間について何の限定もされて

いない以上、一定の事項についての提言をするまでの臨時的、一時的な住民参加型

会議組織であるからといって、市民懇話会及び条例案検討会が附属機関に該当する

と解する妨げとはならない。また、附属機関の提示する結論が行政組織の長である

出雲市長の行政執行を何らかの意味において拘束する効果を有する必要もないと解

する。

よって、関係職員の主張は採用する理由がない。

(3) 違法な委員会の設置に伴い委員等に支払われた報酬その他の経費の損害賠償に

ついて

ア 本件市民懇話会及び条例案検討会の委員(以下、「本件委員」という。)に対

しては、前記認定のとおり報償費が支給されているところ、報償費とは、一般的

に、役務の提供(例えば、講演会、研修会、研究会等の講師等としての出席)な

どによって受けた利益に対する対価として支出されるものである。

ところで、市民懇話会及び条例案検討会は、法第138条の4第3項に規定する「附

属機関」に該当すると解すべきことは前記のとおりであるから、その委員に対す

(13)

づいて支出されることを要するというべきである。

そうすると、本件委員に対する報酬を給与条例に基づくことなく、これと異な

る報償費として支出したことは、違法な公金の支出に当たるとの評価を受けるこ

とを否定することはできない(法第138条の4第3項、第202条の3第2項、第203条の

2第1項、第204条の2、第242条第1項)。

イ また、前記認定の市民懇話会及び条例案検討会に関するそれ以外の科目(市民

懇話会及び条例案検討会委員の費用弁償、市政広報新聞掲載費、市民懇話会世話

人会出席委員等の費用弁償、無作為抽出アンケート返信用後納郵便料)に係る支

出も、違法に設置された附属機関運営のために支出されたものとして違法な公金

の支出とされることも同様である。

ウ しかしながら、違法な公金の支出があれば、ただちに、出雲市にその全額が損

害として生じるものと即断することはできない。一定の公金の支出が違法であっ

たとしても、そのような違法状態のない適法な状態においても同種の公金の支出

を免れなかったとすれば、現実の支出額とそれに要すべき支出額との差額のみが

損害となり、その差額が認定できなければ、出雲市に損害は生じていないものと

解すべきである。

エ ところで、本件委員に対して支出された報償費は、特別職の職員で非常勤のも

のの報酬、費用弁償等に関する条例(平成17年出雲市条例第36号)の規定を準用

し、その額については、毎年度出雲市予算編成要領により示された積算基準に基

づき予算措置されたものであることから、仮に、本件市民懇話会及び条例案検討

会が附属機関として適法に設置された場合であっても、支出されたであろう報酬

の額は、この報償費と同額であったと推認することができる。

オ 報償費は、一般的に役務の提供などによって受けた利益に対する対価として支

出されるものであり、本件委員が何らの任務も遂行しなかった場合はともかく、

実際に任務遂行がなされている場合には、出雲市は任務遂行による役務の提供を

受けているのであるから、本件委員に対する報償費の支払い義務を負うことにな

る。

カ 本件委員の活動実績については、前記認定のとおりであって、事実上、適法に

設置された附属機関の委員と同様の活動をしたものと評価することができる。

キ よって、出雲市は本件委員の適切な任務遂行による役務の提供を受け、その対

価として適正な支出がなされたと認められることから、前記認定の報償費に相当

する支出については、出雲市に損害は生じていないものということができる。

ク また、前記認定の市民懇話会及び条例案検討会に関するそれ以外の科目に係る

支出についても、同様に損害は生じていない。

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